Tおやじの日記帳~TakaWata’s diary~

主にPTA広報紙、その他の話題を書いてます!

30年前、新聞配達で買ったレコードプレーヤー

今から30年以上前の中学生の頃、レコードプレーヤーがたまらなく欲しかった。

 

CDプレーヤーがまだ一般的になる前で、店に行くとシングルやアルバムレコードがたくさん売っていた。

 

年が8つ離れた私の兄は、素晴らしいステレオを持っていた。中学、高校で新聞配達のバイトをして購入した。

 

たまにそのステレオでレコードからカセットテープに録音してもらっていたが、私としてはどうしても自分専用のプレーヤーが欲しかった。

 

そこで兄の真似をして、新聞配達でレコードプレーヤーを買おうと決めた。

 

中学2年の春、新聞配達のバイトを始めた。朝5時に起きて新聞店に行き、50件くらいの家に自転車で配達をする。

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春から秋まではとても楽しかった。早朝で人があまり起きていない町の中を自転車で走るのはとても気持ちがいい。

 

配達を終えて家で朝食を食べて学校へ向かう。途中自分が配達した新聞がまだポストに入っているのを見ると、まだこの家の人は起きてこないのかな?などと想像するのが不思議と楽しかった。

 

同級生たちの知らない世界を知っている気がしてとても面白い気持ちになった。給料は1ヶ月6000円。当時の中学生には大金だ。

 

半分貯金、半分小遣い。そう思ってもお金があるとどうしても欲しいものが次から次へと出てきて、なかなか貯金が貯まらなかった。

 

そうしているうちに季節が秋から冬を迎えると、楽しかった新聞配達が苦痛になってくる。11月になると早朝の風がとても冷たい。1、2月はジャンパーを2枚着込んで頑張った。

 

次第に雪が降ってくる。なんといっても大雪の日は大変だった。自転車のカゴに大量の新聞を入れて雪の中を走るのはとても難しい。

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雨や雪の日は新聞をビニール袋に入れるが、雪でバランスを崩して転ぶ。ビニール袋に入れた新聞が散らばる。雨と違って急いで雪を払えばあまり濡れない。だが転ぶと「あー、もう嫌だー!」となる。

 

しかし新聞配達というのは遊びではない。途中で投げ出したらとんでもないことだ。そこは部活で培った根性で何とか乗り切る。

 

雪の日は普段より1時間ほど時間がかかった。家に帰って急いで朝食を食べて学校へ向かう。

 

そんな苦労をして、やっとレコードプレーヤーを買えるお金が貯まった。今は大手に吸収された電器店でVictor製の14,800円のレコードプレーヤーを買った。

 

同時に初めて買ったレコードは、最近再ブレイクした荻野目洋子の「ダンシングヒーロー」。買った日に嬉しくて10回以上は聞いた。

 

その後も新聞配達を続け、給料を貰うたびにレコードを買った。一番思い出に残るレコードは、サザンのアルバム「kamakura」。

 

だが数年後、やがて時代はレコードからCDの時代となり、高校生の時CDラジカセを買った。あのレコードプレーヤーは物置の中へと追いやられた。

 

それからは当然レコードを買うことはなくなり、CDを買って音楽を楽しんだ。

 

あれから30年。この間実家に行った時、あのレコードプレーヤーを見つけた。電源を入れればレコードを聞けるだろうが、その時は聞こうとは思わなかった。

 

しかしそのプレーヤーを眺めると、少年時代の思い出が次々と蘇る。新聞配達や一生懸命打ち込んだ部活動。そして今もなお付き合いのある友だちと遊びまくった青春時代。

 

レコードプレーヤーを今住んでいる家に持って行こうかと思ったが、そっと物置に戻した。もっと年をとって人生を振り返る年齢になった時にこのレコードプレーヤーで音楽を聞いてみようと思った。

 

その時に「ダンシングヒーロー」のレコードの歌詞を見ながら聴くと、少年時代の思い出がたまらなく蘇ってくるだろう。楽しみはその時までとっておこう。