Tおやじの日記帳~TakaWata’s diary~

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明石市長のパワハラで思い出した、昔の先生のパワハラ

最近のニュースで、明石市長のものすごい暴言を聞いた。権力を振るい、職員に対するパワハラ発言がひどい。

 

話す相手が自分より弱い立場の人間に対して容赦ない。かなり過激な発言まであった。

 

あまり関係のないことのようにも思えるが、30数年前の中学生時代のあることを思い出した。

 

当時私は中学生。その頃はまだ学校で体罰があった時代で(一部ではあるが)男性の先生は怒るとほとんどの先生が体罰をしていた。今では絶対に許されない体罰が許された(?)時代だった。

 

宿題を忘れた、授業中マジメに勉強していない、などの理由で、よく私も叩かれたものだ。

 

K先生という人がいた。女性で50代半ば。音楽の先生だった。

 

女性の先生なので、怒っても体罰ということはなかったが、この先生「言葉の体罰」がとてもひどかった。

 

中1になって初めての音楽の授業。自己紹介や先生の話で授業が終わろうとしていたが、突然「私ははっきりとものを言うタイプだからハッキリ言う。お前とお前とお前、私はお前らみたいな男の腐ったようなのが大嫌い」

 

みんな唖然としていた。いくら先生が厳しい時代とはいえ、生徒を名指しして「私はお前がキライ」という先生は初めてだった。

 

名指しされた生徒は、確かに大人しい性格であまり目立たない男子生徒たちだった。男子たるもの元気が一番!とでも言いたかったのか。しかしみんなの前でそんなことを言うなんて信じられない。言われた生徒は授業のあと落ち込んでいた。

 

そして他のクラスのMくんという生徒がいた。小学校の頃から弱々しく、典型的ないじめられっ子だった。勉強・スポーツが全くダメで、いつも誰かにからかわれ、いじめられていた。

 

ただ当時のいじめは「集団無視」というものがなかった。そういう考え方が子どもたちにはなかった。いじめ方は、暴力、からかいなどであった。どちらもひどいものであることは間違いないが。

 

普通先生という立場なら、このような子に対しては優しく、そして的確なアドバイスなどをすると思うが、あのK先生は違った。

 

大勢の前で「お前はバ◯でしょうがない」「弱虫」「見ていて腹がたつ」などの暴言を平気で吐いた。そして「お前は特殊学級(今でいう特別支援学級)に行け」とまで言っていた。まさしく「言葉の暴力」だ。

 

ここまで言うなら何か「愛のムチ」という意味もあって言っているのか?と思う方もいるかもしれないが、私が思うにそんなことは全くなかった。本当にK先生はMくんを嫌っていた。

 

 Mくんもやや発達障害なところもあり、言われるがままだった。周りの生徒も私を含め何も言わなかった。というより言えなかった。

 

当時は先生の地位は今では考えられないくらい高かったように思う。体罰を受けても厳しいことを言われても「先生に叩かれたり怒られるのは自分が悪い」という考え方があったし、保護者も同じ考え方だった。Mくんの親もよく黙っていたものだ。本当に今では考えられない。

 

今のご時世、こんな先生がいたら全国ニュースになるほど大問題だ。

 

パワハラが問題となって久しいが、当時はパワハラという言葉や考え方が全くなかった時代。よく私たちもMくんも耐えていたと思う。いじめや体罰の問題が新聞、テレビ、ネットなどですぐさま問題になる今だったら、このK先生は即辞職、学校の名前が全国に流れるほどだ。そして他の生徒も保護者や他の先生に報告し、またたく間に世間に広まるだろう。

 

しかしこのMくん、あまり深く考え込むということはなかったようだ。先生にここまで追い込まれるようなことを言われているにもかかわらず、毎日学校に来ていた。同級生にいじめられても卑屈になることなど全くなかった。

 

実は今思えば恥ずかしいことだが、私もMくんのいじめに加担してしまったことがある。みんなにからかわれていた時に、私も同じくからかう側にいたのだ。

 

誤った考え方だが、自分より劣っていると思う(間違った考え)人間を見下すことによって優越感に浸る。こんな馬鹿げた考えでMくんをひどい目に遭わせてしまった。猛反省だ。

 

でもMくんはその後も学校に毎日来た。一日も休むこともなく、高校にも進学できた。

 

高校でも相変わらずいじめられていた。しかし毎日学校へ来て、無事に卒業し、立派な社会人となった。

 

そして私たちが中3くらいだったか。体罰がやっと問題化してきた。先生たちが一斉に体罰をやめた。そしてK先生のパワハラもなくなってきた。

 

おそらく教育委員会からの指導があったのだろう。突然体罰やパワハラがなくなったのは、正直戸惑いを感じるほどだった。

 

あれから30数年。先生たちの地位は下がり続け、今では保護者が先生を叱責する時代である。逆に先生たちが気の毒な気がする。

 

体罰は今の時代では絶対に許されない。しかし体罰によって、殴られる痛みを知った。私たちの世代にしかわからないかもしれないが、そこには「真剣に自分たちを怒ってくれるありがたみ」が感じられた。若い人たちには理解できないかもしれない。

 

しかし言葉の暴力はもっと恐ろしいものだ。

 

言葉の暴力は、時には体罰より心に大きな傷を残す。体罰というものを受けた私たちでも、あのK先生のパワハラという言葉の暴力はひどいものだったと感じる。それほど「言葉の暴力」は怖い。

 

あの明石市長にも、「言葉の暴力」の恐ろしさをわかってほしい。言う方は何気なく言ってしまうが、言われた方はいつまでも遺恨を残すものだから。

 

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